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美容皮膚科への転職は後悔する?失敗しないため知っておきたいこと【直美も】

転職・転科を考えている医師の中には、美容皮膚科や美容外科など自由診療を行う診療科への転職を検討する方も多いかと思います。

これらの美容を目的とした医療行為は医学生時代や初期研修時代に学ぶことがありませんから、「そもそも何をしているのか?」「メリットデメリットが知りたい!」と思われる方もいらっしゃるでしょう。

結論からいうと美容への転職のメリット・デメリットは以下の通りです。

メリット デメリット

緊急対応やオンコールが少ない/ない
平均給与が高い
どの診療科からでも転科しやすい
若手医師にとって身近な領域

保険診療の知識を活かしづらい
診療業務以外の広報活動も重要
医師数の急激な増加

本記事では『美容皮膚科への転職は後悔する?失敗しないため知っておきたいこと』を説明していきます。

【この記事を書いた人】
Dr.So 皮膚科医

・皮膚科専門医
・美容皮膚科を含む自費診療での外来業務経験も豊富

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美容皮膚科・美容外科とは?

通常の保険診療は疾病や傷病の治療を目的に行われます。

一方美容医療は異常を正常に治すのではなく、正常なものをより美しくすることを目指しているとも言えます。

美容皮膚科や美容外科で行われる治療やその目的として、下記のようなものがあります。

  • 脱毛
  • シミ取り
  • AGA(ハゲ)治療
  • 脂肪吸引
  • 二重形成
  • 豊胸手術
  • しわ/たるみ治療
  • メディカルダイエット

最近では広告でもよく見かける治療ですね

続いて「美容皮膚科」と「美容外科」の違いについて確認していきましょう。

美容皮膚科と美容外科の違い

美容医療を扱う診療科として、美容皮膚科と美容外科があります。

両者は共通点も多いのですが、美容皮膚科はどちらかというと"非"外科的手技が中心、美容外科はどちらかというと外科的手技が中心となります。

まず美容皮膚科では美肌を目的としてメスを使わない美容医療で肌悩みを解決します。具体的には以下のようなものがあります。

美容皮膚科の手技

  • シミに対するレーザー治療
  • ケミカルピーリング
  • シワ・たるみに対する注入(ボトックス等)
  • 超音波を用いた施術(HIFU等)

一方で美容外科はメスを使った施術を得意としており顔や身体の形を美しく整えるのが目的です。

美容外科の施術

  • 眼瞼形成術(二重形成)
  • フェイスリフト
  • スレッドリフト
  • 脂肪吸引

このため皮膚科の一分野が美容皮膚科、形成外科の一分野が美容外科と解釈されることも多いです。

ここからは美容皮膚科や美容外科への転職を考えている方に向けて、メリットやデメリットをお伝えしていきます。

美容への転職 デメリット

まずはデメリットから説明していきますね

  • 保険診療の知識を活かしづらい
  • 診療業務以外の広報活動も重要
  • 医師数の急激な増加

保険診療の知識を活かしづらい

美容皮膚科や美容外科へ転職する際のデメリットとしては、これまでのキャリアを活かせないパターンが多いということです。

一般に転職では「軸ずらし転職」が良いとされます。

これは転職先を選ぶ際に業界や職種という軸をずらして、今まで身につけた仕事のスキルが活かせるものへ転職するという考え方です。

しかし美容医療と全く関わりのない診療科から美容皮膚科や美容外科へ転科する場合は、キャリアの連続性が途絶えてしまっています。

「ただ年齢を重ねただけの扱いづらい新人」にならないよう、初心に帰って学び直す謙虚な姿勢が必要でしょう。

診療業務以外の広報活動も重要

また美容皮膚科や美容外科では診療業務以外にSNSでの露出など、広報活動が重要になります。

通常の保険診療では部長や院長などの役職者でなければ自身や自院のPRをする必要はまずありません。

しかし美容皮膚科や美容外科ではインスタグラムなどSNSへの投稿がほぼ必須といえます(義務付けられているクリニックも多いです)。

診療技術だけではなく、SNSでアピールする能力も求められるため向き不向きがあります。

医師数の急激な増加

そして美容皮膚科や美容外科に関わる医師数が急激に増加していることも懸念点でしょう。

厚生労働省の調査では、診療所で勤務する美容外科医師数は2008年と比較して2022年に3.2倍になったというデータがあります。(※ 参考:美容医療に関する現状について|厚生労働省

美容医療業界の平均給与が高いのは価格設定を自由に行えるためです。これは裏を返すと過当競争になれば値下げ合戦が発生しやすいとも言え、長期的には医師の労働環境悪化や給与低下が想定されます。

例えば女性における脱毛施術の値段は過当競争のため相当下がっており、大手脱毛サロンでも潰れるケースが頻発しています。(※ 参考:破産した脱毛サロン一覧!

同様の事象が美容医療業界でも生じる可能性はあるでしょう。

美容皮膚科・美容外科への転職 メリット

続いては美容で働くメリットについて説明していきます!

  • 緊急対応やオンコールが少ない/ない
  • 平均給与が高い
  • どの診療科からでも転科しやすい
  • 自身にとって身近な領域

緊急対応やオンコールが少ない/ない

美容皮膚科や美容外科への転職でメリットとして挙げられるのは、労働環境が良いということでしょう。

保険診療の疾患は脳梗塞や心筋梗塞など、いつ起こるかわからない上に即座の対応が求められる疾患があるため、緊急対応が必要となります。

また最近はチーム制が広がっていますが、担当している患者が急変した場合、主治医の対応が求められることもまだまだ多いです。

一方で美容診療は突発的な業務や時間外労働が少ない環境で、休日は家族と一緒にゆっくりと過ごす時間がとれるなど、ワークライフバランスを確保しやすい傾向にあります。

平均給与が高い

また厚生労働省によって値段の定められた保険診療と比較して、自由診療は値段設定を自由に行える分、利益率を高く設定することが可能です。総じて保険診療と比較して年収は高くなる傾向にあります。

美容皮膚科、美容外科単体の給与水準として国が公表している正式なデータはありませんが、大手求人媒体が提示している年収などを参照すると、平均年収は1,800万円~2,500万円ともいわれています。(参考:美容外科美容皮膚科は儲からない?

どの診療科からでも転科しやすい

そして美容皮膚科や美容外科には(皮膚科・形成外科に限らず)他科で研鑽を積んだ医師も多く在籍しています。

このためもともとの専門にかかわらず、転職先として検討しやすい診療科と言えるでしょう。

若手医師にとって身近な領域

最後に美容医療はとくに若手医師にとって、身近な医療であることもメリットとして挙げられます。

若い方だと身体的な疾患を持っていることは少ないため、保険診療で扱う疾患を自分ごととして考えることは難しいものです。

一方で先述の通り美容医療は正常なものをより美しくすることを目指しています。

「脱毛したら肌がツルツルになって褒められた」「一重なのがコンプレックスだったが手術を受けて自信が持てるようになった」など自身でその治療効果を体感しやすい領域です。

こうした入口から美容医療に興味を持った方にとって、興味のある分野で働くことは大変やりがいのある仕事と言えるでしょう。

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直美(チョクビ)の現状や今後の展望

直美(チョクビ)とは?

ここまではすでに他の診療科で専攻医や専門医としてキャリアを積んできた方が、美容外科・美容皮膚科へ転職するパターンについて見てきました。

しかし医師の中には、初期研修を修了後すぐに美容外科・美容皮膚科へ進む医師も一部に存在しており、「直美(ちょくび)」と呼ばれています。

「なおみ」ではありませんよ!

一般的な医師のキャリアパスとしては初期研修2年間→専攻医3〜5年→専門医となりますが、直美は専攻医を経ることなく直接美容へ進むキャリアということです。

実際に「直美」する研修医がどの程度いるのかについて、正確なデータはありませんが年間200名ほどという意見もあります。(参考:医療維新 | m3.com

現在、日本の医師国家試験合格者数は年間9,500人ほどですから、このデータが正しければ全体の2%程度の医師が直美しているということになります。(参考:医師国家試験の学校別合格者状況|厚生労働省

直美は賛否両論

ただ現場レベルでいえば直美は賛否両論です。

他の診療科で考えてみると、「当初から○○科を志していた医師」と「5年目に○○科へ転科した医師」では概して前者の方が評価される傾向にあります。

これは年齢が若いため物覚えが早く、身体的にも無理がききやすい時期に、専門的な研修を積みレベルアップしていることが期待できるからです。

そう考えると初期研修直後に美容医療業界へ進む直美にはメリットがありそうですが、実際は直美に批判的な意見の方が多いです。

直美の教育体制の実態

これにはさまざまな理由がありますが、その一つに美容外科の専門研修システムが十分確立されていない点があります。

現在保険診療における専攻医(かつての後期研修医)は日本専門医機構の定めるプログラムで研修内容が決められています。

一方で美容皮膚科や美容外科では専門プログラムという概念がありませんから、各医療期間が独自の教育体制を行っています。

しかしクリニックでは高い売上(≒医師の高い年収)を確保するためにも早く医師に施術を実施してもらう必要がありますから、収益を産まない研修期間を十分取れるとは限りません。

チェック

例えば、施術の技術に関する研修がない医療機関が24%

高侵襲の治療においても医師が一人で治療実施に携わるまで1年未満の医療機関が17%というデータもあります。

(参考:医療の質の向上に関する問題について|厚生労働省

つまり直美で十分な研鑽を積まないまま、難易度の高い施術をいきなり行わなければならない状況もありえます。

これは施術を受ける患者側から問題なのはもちろんですが、医師の側も不安・ストレスを抱えながらの施術は不満が溜まりやすいでしょう。

また直美は現在とくに制限されていませんが、美容医療による被害が生じているケースもあることから、今後一定の規制が行われる可能性があります。

2024年現在は「美容医療の適切な実施に関する検討会」が開かれ、今後の対応について協議が行われています。参考:美容医療の適切な実施に関する検討会|厚生労働省

美容皮膚科への転職は転職サイトを利用しよう

美容皮膚科や美容外科への転職は、一般的な専攻医と比較して画一的な研修プログラムが存在せずアタリハズレが大きいです。

研修プログラムの充実した美容クリニックであれば魅力的な転職といえるでしょう!

このため事前の情報収集がかかせません。

このとき実際に転職した医師に話を聞けるのが一番良いですが、そうした医師が身近にいないことも多いでしょう。

そのような場合は医師用転職サイトのエージェントに相談することで、希望する転職先を探す手伝いをしてもらえます。

登録は無料ですから転職を検討されている方は一度利用されてみてはいかがでしょうか?

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美容皮膚科への転職は後悔する? まとめ

本記事では『美容皮膚科への転職は後悔する?失敗しないため知っておきたいこと』を説明しました。

改めて美容への転職のメリット・デメリットをおさらいしておきましょう。

メリット デメリット

緊急対応やオンコールが少ない/ない
平均給与が高い
どの診療科からでも転科しやすい
若手医師にとって身近な領域

保険診療の知識を活かしづらい
診療業務以外の広報活動も重要
医師数の急激な増加

美容への転職は非常に魅力的ですが、画一的な研修プログラムが存在しないためアタリハズレがあるのも事実。

検討している方は転職エージェントに相談して、教育体制がしっかりとした医療機関をピックアップしてもらいましょう。

今すぐに転職しないとしてもサイトに希望条件だけ登録しておくと、公にできない内部事情も含めた好条件求人をGETできるかもしれませんよ。

この記事が悩めるあなたの手助けになれば嬉しい限りです。

以上、Dr.Soでした!

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