医局は嫌だから精神科単科病院に直接入職しようかな
間違った病院に就職すると、精神保健指定医の取得に困る可能性があるよ
こんにちわ。ふなっしーです。
今回は精神科単科病院の選び方についてお伝えしていきます。
精神科単科病院といっても実は病院によって大きな違いがあります。
ホームページの情報を鵜呑みにして「こんなはずではなかった」という転職や就職例が多いですので注意してください。
特にこれから精神保健指定医を目指す方は病院選びはしっかりとした方が良いです。
ここでは『精神科単科病院の選び方|医師向けに職場選びのコツや注意点』を解説していきます。
※本記事では精神科において非常に重要な資格、精神保健指定医(※以下、指定医)の概略は省略しています。詳しくは精神保健指定医とは?を読んでみてください。
【この記事を書いた人】
ふなっしー 精神科医
・精神科スーパー救急勤務
・日本精神神経学会所属
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精神科単科病院の大まかな整理
まずは結論から申し上げます。
精神科単科病院は大きく分けると精神科急性期病棟がある急性期病院と、急性期病棟のない慢性期病院に分かれます。
以下にそれぞれのメリット・デメリットを列記します。
【急性期病院】
メリット | デメリット |
指導体制がしっかりとしている病院が多い 入退院も多いために指定医のレポートの症例が集まりやすい | 給料が相対的に安めである 精神科病院の中では忙しい部類に入る |
【慢性期病院】
メリット | デメリット |
QOLが高く、日中もゆったりと過ごせる 給料も急性期病院よりも高い傾向がある | 高齢の医師ばかりで施設設備、デバイスも含めて脆弱である 指導体制、教育体制がほぼないところがある |
まずは急性期病院について確認していこう!
精神科急性期病棟をもつ精神科単科病院
忙しいが症例数が豊富
私が在籍しているような精神科スーパー救急がある病院は精神科急性期病棟をもつ病院に含まれます。
こちらは急性期病棟を持っている病院であるため病棟の性質上3ヶ月以内で退院させないといけないために入退院が多い病院です。
スーパー救急がある病院はさらに入退院が多いです。そのため初診が多く、症例をたくさん経験することができます。
仕事はというと、病院にもよりますが慢性期病院よりは忙しいところが多いです。
一般的な急性期病院のイメージと一緒だね!
まさにそんな感じだな
指導体制が充実している、給料は若干低め
医局と繋がって派遣されている医師も多いため、若手の医師が多く指定医や専門医の情報が多いです。
あとは中堅の医師も在籍していることが多いため、レポートの指導体制が充実している傾向があります。
措置入院などの指定医を目指す上で必ず必要な症例も初診が多いために集まりやすく、そのため指定医のレポートの症例に苦労することが少なめです。
ただし急性期病棟を持っているということは医師の数が多く必要となるために給料は慢性期病院より低い傾向があります。
医師の数が多いため慢性病院と比較すると当直の数は少なめです。
資格の取得に興味がなく、ただゆったり目の病院に就職したいだけの人だと、「思っていた病院と違った」となるかもしれないので注意してください。
初めて精神科を経験するならおすすめ
転科や初期研修が終わってこれから精神保健指定医の取得を目指していく方には、こちらの病院での就職をお勧めしています。
慢性期病院でも取得することは不可能ではないのですが、措置入院症例や中毒症例など指定医を取得するために必要な症例を獲得することができない可能性があります。
慢性期の病院の場合は仮に取得できたとしても3年で最短で取得できる確率は低いです。
また症例に適した症例数が少ないことから、典型的でない症例でレポートを書かないといけなくなるために合格する確率も低くなってくると思います。
指定医のことを考えてたら一番の近道なんだね
精神科においてはそれだけ重要な資格だからね!
まずは精神科急性期病棟がある病院で指定医を目指しましょう。
精神科急性期病棟も病院によって様々です。
ネットの情報だけを鵜呑みにせずに転職エージェントなどに相談をしながら最低でも2~3施設はしっかりと見学をしましょう。
急性期病院を見学する際に見るべきポイント
病院見学ではどんなところをチェックすればいいのかな?
急性期病院の見学で見るべきポイントも教えていくね!
- 専攻医の有無を確認する
- 指導体制を確認する
- 気軽に相談できそうな先生がいるか確認する
専攻医の有無を確認する
専攻医(これから指定医を目指す先生)がいるかどうかを確認してください。
専攻医がいない場合は「最近、見学先の病院から指定医を取得できた人がいたかどうか」を聞いてください。
ここ数年取得者がいない場合は症例や指導体制のどこかで問題がある可能性があります。
指導体制を確認する
指導体制を確認してください。
特に最近指定医を取得した先生がレポートを添削をしてくれると思いますので、そういった先生が何人在籍しているかどうかを確認してください。
指定医の制度は最近大きく制度や法律が変わっています。指定医を取得して、かなりの年数が経っている先生しかいない場合は、最近の制度変更に対応しておらず十分な指導を受けられない可能性があります。
気軽に相談できそうな先生がいるか確認する
精神科を未経験の場合は併せて薬剤の使用法などの教育方法を確認してください。
転科や初期研修後で直接精神科病院に直接就職される方は、十分な教育がないと精神科の診療はできません。
少なくとも「気軽に相談をできる先生がいそうかどうか」は確認してください。
病院の中では完全放置の病院も少なくありません。しっかりと確認しておきましょう。
病院に一度就職してしまうと辞めるのはなかなか体力が要ります。後悔のない病院選択をしましょう。
精神科の療養病棟のみ持つ精神科単科病院
続いて精神科の慢性期病院について解説していきます。
QOLと給料は高め
慢性期病院は、いわゆる急性期病棟を持たない病院を指します。
基本的には長期入院の患者さんが多く、初診で入院になる人も比較的少ないです。
常勤の医師が少なく、そのため一人当たりの患者数は多いです。
基本的に寝当直ですが当直回数は急性期病院と比較すると多い傾向にあります。給料は高水準で高い傾向があります。
業務量も少なく患者さんも全体として落ち着いているために午後からほぼ仕事がないことも多いです。
その給料とQOLに惹かれて若い医師も直接慢性期病院に就職することも多いです。
慢性期病院特有のデメリットもある
給料も高くてハイポなら全然ありじゃない?
慢性期病院としても当直をたくさん入ってくれる医師が欲しいために、指定医がなくても若手医師を採用することが多いです。
それ自体は悪いことでないと思いますが、しっかりと目的と病院選びはした方がいいと思います。
エージェントや周りに相談することなく、自身だけで決めてしまうと失敗するケースが特に慢性期病院だと多いと思います。
慢性期病院は医師の常勤も少なく、その常勤も高齢であることが多いために病院によっては旧態依然の方針であることが多いです。
紙カルテ、紙オーダのところは多いですし、検査機械もレントゲンしかないところもあります。
病院の設備だけでなく、運営方針も旧態依然であることが多く、特に若手医師だと初めて単科病院に知らずにいくとカルチャーショックを受ける可能性があります。
しっかりとエージェントなどと相談しながら複数の単科病院を見学していき、自分に合ったところを探していくことが大切です。
決して給料、休みなどホームページだけの情報だけを信じず病院内部のこともしっかりと調べてください。
昔ながらの感じが肌に合うかは重要だな
これから指定医を取得するなら注意が必要
指定医を取得をすでに終わった先生はQOLと給料のことを考えれば非常におすすめできる病院ではありますが、これから指定医を取得したい先生は注意が必要です。
先ほどもお伝えしましたが、指定医を取得するためには症例が必要です。
急性期病院に比べて、慢性期病院はやはり新規入院数が少ないために症例が少ない傾向があります。
また常勤の医師が少なく、高齢の医師が多いためどうしても指導が脆弱となります。
またひと昔前の治療を行なっている病院も少なくなく、個人的には一度急性期病院でしっかりと経験を積んで、指定医を取得してから転職されることをお勧めします。
正直あまり教育は慢性期病院は期待できません。
逆に給料とQOLはおそらく他の診療科と比べても最高水準であると思うので、非常にお勧めです。
また指定医などの資格取得に興味がない方にとっても就職先としては魅力的だと思います。
メリットとデメリットをしっかり把握しておこうね!
慢性期病院を見学する際に見るべきポイント
では慢性期病院の見学をする際に見ておくべきところをまとめていきます。
少し多くなっちゃったけど、どれも重要だよ
- カルテ、検査などデバイスの面が問題ないか?
- 医師の常勤は何人くらいか?
- 指定医を目指す医師は在籍しているか、指定医の取得ができている人はいるか?
- 措置入院症例や児童症例など取りにくい症例もしっかりと取れるか?
- 慢性期の単科病院の雰囲気が自分に合っているか?
- 給料や当直数などが求人と合致しているか?
- 頼りになる指導医はいそうか?
全てを確認するのは難しいかもしれませんが、転職エージェントを活用するなどして事前のリサーチを徹底しましょう。
この記事をブクマして見学時にチェックするといいぞ
ひとまず精神科単科病院の選び方は分かったよ!
精神科単科病院の選び方 まとめ
本記事では『精神科単科病院の選び方|医師向けに職場選びのコツや注意点を解説』を説明しました。
まとめます。精神科単科病院は大きく分けると急性期病院と慢性期病院があります。
急性期病院のメリットは
⚫️指導体制がしっかりとしている病院が多い
⚫️入退院も多いために指定医のレポートの症例が集まりやすい
急性期病院のデメリットは
⚫️給料が相対的に安めである
⚫️精神科病院の中では忙しい部類に入る
慢性期病院のメリットは
⚫️QOLが高く、日中もゆったりと過ごせる
⚫️給料も急性期病院よりも高い傾向がある
慢性期病院のデメリットは
⚫️高齢の医師ばかりで施設設備、デバイスも含めて脆弱である
⚫️指導体制、教育体制がほぼないところがある
どちらもメリット、デメリットがあります。
自分にあった病院を探すには1人でネットや口コミだけを信じて決めるのではなく、しっかりとエージェントなどを利用しながら見学をしてください。
精神科の単科病院への入職を検討されている方は、転職サイトに希望条件だけ登録しておくと、公にできない内部事情も含めた好条件求人をGETできるかもしれません。
ぜひ複数の病院を見学して比べながら自分に合った病院を探してみてください。
以上、ふなっしーでした!
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