精神科単科病院の当直バイトの求人を見かけたことのある方は多いのではないでしょうか?
精神科病院の当直は非精神科医でも問題なく、実態としてはほぼ寝当直です。
慢性期病院の寝当直よりも競争率が低かったりもするので、おすすめのバイトです。
そこで本記事では『精神科単科病院の当直バイトの仕事内容やメリット』を説明していきます。
転科経験あり。身体科の視点をもつ精神科医のぼくが実体験をもとに解説するよ!
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精神科医でなくとも精神科当直はできるのか?
結論からいうと精神科医でなくとも精神科単科病院の当直は可能です。
精神科救急の輪番日の場合は精神保健指定医である必要がありますが、そうでなければ非精神科医で問題ありません。
というより当直帯に関しては内科をはじめとした他科の先生の方が頼もしいとさえいえます。
夜間に対応を求められるのは肺炎や心不全、転倒による外傷など身体面な問題がほとんどだからです。
実際、精神科単科病院のスタッフには「身体が診れる内科の先生に当直に入ってもらった方が安心」と考えている方はけっこういます。
頼りにされると思うぞ
精神科単科病院の当直バイトの仕事内容
精神科単科病院の当直バイトの仕事内容は大きく以下の通りです。
- 隔離や身体拘束患者の診察とカルテ記載
- 死亡確認/死亡診断書の作成
- 急変時対応
- (稀に)転倒患者の皮膚縫合
隔離や身体拘束患者の診察とカルテ記載
まずは個室隔離や身体拘束を行っている患者の診察とカルテ記載です。
精神科では日中と夜間の合計2回、隔離や身体拘束に関するカルテ記載を行う必要があります。(参考:精神科病院での隔離患者の診察回数)
といっても当直帯の先生に多くを求められることはありません。診察時は「お変わりがないか?」のチェック、カルテ記載は過去の記録を参考に行えば問題はないでしょう。
記載方法に関しては病院側から以下のようなテンプレートが用意されているケースもあります。
死亡確認/死亡診断書の作成
患者の高齢化に伴い、認知症をはじめとした精神科患者の死亡確認や死亡診断書作成の業務があります。
精神科病院によっては介護老人保健施設が隣接している場合もあり、そちらに移動して死亡確認を行うことも。
以下の手順に従って行いましょう。
死亡確認
- 心臓拍動停止、呼吸停止、瞳孔散大・対光反射停止の3徴候を確認
- 心電図の波形がフラットになったら、脈を触れながらゆっくりと触診と聴診
- 睫毛反射の消失を確認
(参考:死亡確認は2~3分かけてゆっくり行う:Cadetto.jp)
これを2回ゆっくりと行います。
寝当直バイトと同じや
急変時対応
先に言及したように精神科病院といえど夜間の急変のほとんどは身体的な問題です。
ただ精神科単科病院も多くの療養型病院と同様に、夜間に緊急採血や画像検査を行える施設はほとんどありません。
取り扱いのある抗生剤や昇圧用の輸液ポンプなどの医療資源も限られているため、無理せず専門病院への救急搬送を行いましょう。
また療養型病院ほど全員が全員DNAR(心肺停止時に心肺蘇生を行わないようにという指示のこと)が取得されているとも限りません。
本人の意思を確認できない状況であれば家族と協議の上、必要に応じてDNARの取得も検討しましょう。
臨床3年目以降の先生なら問題なく対応できると思うよ!
(稀に)転倒患者の皮膚縫合
精神科病院の当直では、高齢者やパーキンソニズムのある患者の転倒で皮膚縫合を要することがあります。
とはいえ高度な縫合技術は必要ありません。日によっては専門的な縫合経験のない精神科医の先生で行っているわけですから。
多くの真っ直ぐな創はステリやステープラ固定で対応可能です。
これらで閉創が困難であれば縫合キットの使用を、縫合に自信が無く止血が得られないのであれば迷わず搬送を検討しましょう。
実際、常勤の精神科経験のみの先生もそうしてるよ!
精神科単科病院の当直バイトの給与相場
地域にもよりますが精神科病院の当直バイトの給与相場は
- 1晩あたり3〜5万円
- 休日の日当直は7~9万円
と寝当直と同じくらいの給与相場です。
精神科単科病院の当直バイトのメリット
寝当直が多い
精神科単科病院の当直バイトは非常に穏やかです。
- 身体的な負担が少ない
- 自由時間が多い
など寝当直と同様のメリットがあります。慢性期病院と比較すれば、内科疾患を抱えている患者も少ないためコールも少なめです。
実際には不眠などの訴えのある患者はいるのですが、病棟が対応して後日主治医に相談することになっています。
そのため豊富な空き時間に学会発表の準備をする、ネットフリックスでアニメ鑑賞をするなど自由に過ごすことができます。
いわば『寝てるだけでお金が入ってくる』高コスパなバイトといえるね!
競争率が低い
精神科当直はほぼ寝当直なのですが「精神科的な対応が必要なのでは?」といったイメージが先行しているのか競争率は低いです。
そのため単純な慢性期病院の寝当直よりは応募が通りやすいです。
精神科的な知識は問われない
精神科病院のバイトといっても、精神科の法律や入院形態など精神科的な知識は問われることはまずありません。
病院側として最も期待しているのは、あくまで身体的な急変への対応だからです。
また不眠時・不穏時といった有事の処方例は主治医から指示が出ているため、精神科薬の調整を求められることはないでしょう。
変にハリきる必要はないぞ
精神科単科病院の当直バイトの注意点
精神科単科病院の当直バイトにも、いくつかの注意点があります。
- 施錠を徹底する
- 応募要件を確認する
- バックアップ体制を確認しておく
施錠を徹底する
精神科単科病院の大きな特徴として、施錠を行う機会が一般的病院の比ではありません。
ここには精神症状により医療や保護が不可欠な患者が存在します。
患者の安全を確保するため必要に応じて閉鎖病棟のような治療環境を整え、施錠することで彼らを守っているのです。
開けっ放しは患者の離院などのリスクが高まるため、手間ではありますが施錠を徹底するようにしましょう。
ぼくも転科後に驚いたポイントだよ
応募要件を確認する
精神科単科病院の当直バイトに応募する際は『精神保健指定医』の要件を確認するようにしましょう。
先に書いたように精神科救急の輪番日の場合は、精神科的な緊急入院の可能性があるため指定医でないと対応できないからです。
そういった日は「指定医が必須」の旨の記載が必ずあるはずなので、しっかりと応募要件を確認しておきましょう。
バックアップ体制を確認しておく
稀ではありますが病院によっては精神保健指定医との2人当直のこともあります。
例えば夜間に初めて身体拘束が必要な患者が生じた場合、法的には指定医による指示と告知、記録が必要になるからです。(参考:指定医の指示 - 精神保健福祉法の知識)
バックアップ体制が充実しているバイトでは、仮に精神科薬の調整が必要なったとしても相談しやすいですから、確認しておいてもいいかもしれません。
精神科単科病院の当直バイト まとめ
本記事では『精神科単科病院の当直バイトの仕事内容』を説明しました。
精神科単科病院の案件は比較的豊富にありますが、好立地や高単価の案件は倍率が高い傾向にあります。
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