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精神科に転科するメリット・デメリット|医局を辞めて転職した医師が解説

連日のオンコールで、このままじゃ子育てとの両立なんてムリ。

転科するにしても色んな科があるよね。精神科ってどんな感じなんだろう

転職を視野に入れている医師の方には、同じような疑問を抱いている人も少なくないでしょう。

私も外科系診療科に所属していた際は、転科しようにも他科の事情が分からず、不安な気持ちを抱いていました。

そこで本記事では『精神科に転科するメリット・デメリット|医局を辞めて転職した医師が解説』を説明していきます。

しーばん
しーばん

転職相談を経て大学医局を離脱。泌尿器科⇨精神科に転科したぼくが、実体験をもとに解説するよ!

良いポイント 気になるポイント

今後も高い需要が見込める
前の専門性が重宝される
残業やオンコールが少ない
時間単価が上がる
当直がゆったりしている
開業時の初期費用が少ない

身体管理スキルが落ちる可能性がある
物足りなさを感じる可能性がある
精神科特有の表現に慣れるのに時間がかかる
資格取得に3年の常勤精神科経験が必要
通勤が不便になることがある

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精神科転科のデメリット

身体管理スキルが落ちる可能性がある

精神科以外の多くの診療科では日常的に身体面の治療をしますから、当然ながら身体管理のスキルが磨かれます。

一部のマイナー科はいったん置いとこうな

しかし精神科では主に精神的な問題に焦点を当てるため、身体疾患を直接診る機会が減少します。

精神科単科病院によっては、エコー器具・輸液ポンプの取り扱いがなかったり、造影剤アナフィラキシーを懸念して造影CTが施行できなかったりします。

この結果、身体管理に必要なスキルがあっても物理的に発揮できないためスキルの維持が難しくなることがあります。

また前の科の解剖学的な知識は風化することはありませんが、治療薬の選択法などはガイドラインの改定によって、次第に使えない知識になってしまいます。

しーばん
しーばん

総合病院だと他科に任せてた身体疾患を自分で診るようになるから向上するスキルもあるけどね!

物足りなさを感じる可能性がある

精神科では患者の精神状態を診断し、時には数年単位で長期的に治療することが中心となります。

救急対応の場面は他科より圧倒的に少なく、代わりに精神療法や薬剤調整が主体になるでしょう。

私はもともと泌尿器科医だったので、深夜に差し掛かるような長時間オペや夜間の緊急処置も行っていました。

今では手術室や救急部で感じた「アドレナリンの高まり」を経験できる機会は減ったため、中には精神科転科によって物足りなさを感じる方もいるかもしれません

しーばん
しーばん

精神科でも軽い縫合処置はするし、CPA(心肺停止)対応で小さな高揚感を味わったりはするよ!

そもそも夜間呼び出しがダルくて転科したってのもあるしな

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精神科特有の表現に慣れるのに時間がかかる

精神科の診療は患者の精神的な問題に焦点を当てるため、診察や表現の方法が大きく異なります。

身体科では血液検査や画像診断など、客観的な指標に基づいた診断が主流です。

しかし精神科では患者の話し方、表情、態度などの非言語的な情報が診断の重要な要素となります。

初めて精神科に触れる医師は、こうした指標で治療を進めることに慣れるのに時間かがかるかもしれません。

「表情平板化」とか、「抑うつ気分」みたいな表現は、身体科ではまず使わないからね(笑)

先生によって解釈が分かれる場面も、他科よりは多いかもな

資格取得に3年の常勤精神科経験が必要

精神科においては「精神保健指定医」という資格が特に重要です。

指定医の資格がないと医療保護入院や措置入院などの対応ができないといったこともあり、何かと業務に制限がかかってしまいます。

あー、なんか学生時代にそんな勉強やったかも

チェック

精神保健指定医の取得には5年以上の医師としての経験、3年以上精神科医としての臨床経験を有することが必須条件となっている。

厚生労働省:精神保健指定医の新規指定申請に関するQ&Aより

さらに、この精神保健指定医の資格の有無で200-300万円も年収に差が開くこともあるため、経済的にも必須の資格といえます。

指定医がないと年収の大幅増は望めなそうだね

最低でも転科後3年間は指定医の取得ができないため、その点は予め把握しておいた方がいいでしょう。

指定医は医局に所属しなくても取れる場合も多いよ!

医局から抜け出したい人にはもってこいだな

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通勤が不便になることがある

多くの精神科病院は駅から遠かったり、都市部から離れた場所にあることが多いですます。

これは広い敷地が必要とされることや、患者さんが静かな環境で治療を受けられるようにするためです。(精神科患者に対するイメージから、忌避されている可能性も否めません。)

結果として通勤時間が長くなる可能性があります。

しーばん
しーばん

ぼくは市街地から電車で15分の通勤時間だから、探せば好立地の病院はあるけどね!

精神科転科のメリット

前の科の専門性が重宝される

精神科への転職には多くのメリットがありますが「前職の専門科での経験が重宝される」というのがまず挙げられます。

精神科患者さんの中にも、何らかの身体疾患を合併している方は珍しくありません。

また長くとも数ヶ月で患者が退院していく身体科と異なり、精神科の患者は数年単位を入院して過ごすことがざらにあります。

そうなると入院中に身体疾患が増悪し何らかの対応を求められる機会が少なくないのです。

そんな中、精神科のみ経験されている先生方は、比較的身体面の管理を苦手としている印象があります。

科によって得意不得意があるのは仕方ないわよね

身体科での経験があれば、精神科患者の身体的な問題を(全く身体科経験のない精神科の先生よりは)正確に評価できるため、周囲から頼りにされる可能性が高いのです。

ただし先に言及した通り、各疾患の治療法は日進月歩で新しくなっています。

転科後も過去の経験に頼るのではなく知識をアップデートしたり、治療前に最新の情報について調べるように注意する必要はあるでしょう。

しーばん
しーばん

他の先生からも相談をされるから、下っ端って感じでもない特殊なポジションを築けるよ!

指定医取った後は無双状態になるぞ

残業やオンコールが少ない

他科と比べて、精神科は残業やオンコールが圧倒的に少ないためストレスフリーに働くことができます。

身体科では急な手術や緊急対応が頻繁に発生するため、医師がオンコールで待機する必要がある場面も多いです。

そうそう。特に若手だとオンコール多いんだよね

ぼくも夜間に尿管ステント入れに行ったりしてたな・・・

一方で精神科では比較的急変が起こりにくいため、勤務時間が安定しておりプライベートの時間を確保しやすくなります。

ガチでやばい時は、他院に救急搬送するしな

病院によってはオンコールが全くないこともあります。

オンオフをしっかり分けられるというのは、精神科の大きな魅力と言えるでしょう。

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当直がゆったりしている

精神科は当直がゆったりしており、滅多に夜間の緊急対応を求められないことも大きなメリット。

精神患者の多くは慢性的な精神疾患を抱えているため、急激な病状の変化が少ないです。

10年以上入院を続けている人とかもいるからな

身体科では救急部の呼び出しを受けたり術後に急変するケースが頻繁に発生したりしますが、精神科ではそうした急変が稀です。

精神科としての夜間緊急入院とかってないの?

厳密には夜間に緊急(措置)入院を受けなければならない場面はあるので、全く緊急対応がないわけではないですが、他科と比べればゆったりとした当直が可能といえるでしょう。

ぶっちゃけ寝当直多いよ!

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時間単価が上がる

残業が少ないことの補足ですが、転職することで給料の時間単価が上がる点が挙げられます。

先に挙げたように、精神科医は他の科の医師に比べて定時で業務を終えることが多いため、労働時間が少なくなる可能性が高いです。

例えばAM8時に出勤~PM6時に退勤(労働時間10時間)、年収1,000円の医師が9時5時で上がれる精神科に転職したとしましょう。

まあ、十分あり得る勤務時間だね

泌尿器科時代は朝6時出勤でカンファの準備してたけど、ブラック医局の例は極端だからやめとこう(笑)

年収労働時間/日時間単価
転科1,000万10時間約3,800円
転科850万8時間約4,000円
※週5日労働で通勤時間は除き、休憩時間も含めた場合

精神科では指定医がない時期は年収が伸びにくい傾向にありますが、このように、時間単価ベースで考慮すると上がることが多いです。

また今回の計算には夜間・休日の呼び出しは含めていないため、実際にはさらに開きがあるものと考えられます。

外科系だったら土日どっちかは、オペ後の患者さん診に行くもんな

指定医取得後は他科と遜色ない給与が得られることを考えると、時間を有効に使いながら、高い時間単価を得られるのは精神科の大きなメリットです。

今後も高い需要が見込める

高齢化や社会情勢から患者が増え、精神科は他の診療科と比べても、安定した需要が期待できる分野です。

チェック

厚生労働省の患者調査によると精神疾患を有する総患者数は、2002年の258万人から2017年の419万人へと15年間で1.6倍と増加している。

ヘルスケア業界:病院の事業環境と今後の展望より

  • 職場でのストレス
  • 家庭内の問題
  • 人間関係の悩み

などにより、精神的な問題を抱える人は肌感覚でも年々増加している印象です。

さらに高齢化社会に進むにつれ、認知症を含む精神的な健康問題への対応がますます重要になるでしょう。

以上のことから、精神科医の需要は今後も高まっていくことが考えられそうです。

しーばん
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開業を視野に入れているなら、将来的なニーズは大事だよね!

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開業時の初期費用が少ない

この記事を読んでいる医師の方の中には、将来的に開業を考えている先生もいることでしょう。

精神科に転科する最後のメリットとして、開業時の初期費用が少ないことが挙げられます。

例えば、消化器内科では内視鏡などの高度な医療機器が必要ですが、精神科ではそうした設備は基本的に不要です。

具体的には、開業にいくらくらいかかるのかしら?

他科では数千万円の初期費用がかかるところ、精神科の開業資金は1,400万円程度と言われていて非常にリスクが小さいのが特徴。(参考:開業資金の目安や失敗しないためのコツを解説 東京ドクターズ

精神科への転職は、将来の独立を視野に入れている医師にとって非常に魅力的といえるでしょう。

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精神科に転科した感想

精神科に転科した結論としては、「大満足」でした。上記の(開業などを除いた)メリットは体感的に享受しています。

デメリットに関しても他の科に転職したとしてもあり得たものが多く、メリットの方が大きく上回っている印象です。

通勤の問題などに関しては、コンサルタントに相談することで好立地な病院を提案してもらえる可能性もあります。

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精神科への転科はハードルが高い?

他の科から精神科への転科については、比較的ハードルが低いとされています。(参考:精神科医になるには?仕事内容や働き方、向いている人などもチェック スタンバイplus)

少なくとも診療を行うだけであれば必要な資格はなく、他の科で培った診察時のコミュニケーションスキルが応用できるからです。

また先に言及した通り、精神科患者さんにも身体疾患を有している方は多くいるため、他科での専門知識が役に立つ場面も多いでしょう。

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精神科に転職するメリット・デメリット まとめ

本記事では『精神科に転科するメリット・デメリット|医局を辞めて転職した医師が解説』を説明しました。

現状に満足していないのであれば、精神科医としての道を進むことで、新たなやりがいを見つけられるかもしれません。

どちらにも一長一短があるため、転職を検討する際には、自身のキャリアプランやライフスタイルに合わせて慎重に判断することが大切です。

気になる方は、転職サイトに希望条件だけ登録しておくと、公にできない内部事情も含めた好条件求人をGETできるかもしれませんよ。

少しでも、転科を検討しているドクターの皆様の参考になれば幸いです。

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以上、しーばんでした!

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