本記事で分かること
・転職を失敗させないための方法を教えてほしい!
・精神科に転科する際、特有の注意点はある?
・精神科に転職して後々後悔しないためにはどうしたらいい?
・注意点だけじゃなくて精神科の魅力も教えて!
将来的なQOLを考えたら精神科への転科は魅力的よね
ぼくも気になってるんだけど、気を付けた方がいいことはあるのかな
精神科への転職を考えている医師の皆さんにも、同じような疑問をお持ちの方はいるのではないでしょうか。
特に精神科への転職には、他の診療科とは異なる特有の注意点が存在します。
そのため本記事では『精神科に転科すると後悔する?|失敗しないための注意点【体験談】』を説明していきます。
転職相談を経て大学医局を離脱。泌尿器科⇨精神科に転科したぼくが、実体験をもとに解説するよ!
精神科医の魅力も伝えていくから最後まで読んでくれよな
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やりたいことが叶うか確認しておく
精神科に転科する際に、転職先の病院で自分のやりたいことが叶うかを事前にチェックすることは非常に重要です。
これを怠ると後悔する可能性が高まります。
このためまずは自分のキャリアビジョンを明確にしておきましょう。
理想のキャリアビジョン
次に転職先の病院が自分のビジョンに合致しているかどうかを以下の情報などから確認します。
- 病院のホームページ
- Googleや看護師転職サイトの口コミ
オンライン上の情報だけでも、その病院がどのような分野に力を入れているのかを把握することは可能です。
このように精神科への転職で後悔しないためには、事前のリサーチと確認作業が欠かせません。
実際にコンサルタントに相談してみて病院見学をしてみるのも有効な手段だね!
転職候補の病院の医師に聞きにくかったら事務の方から情報収集してもいいぞ
0からのスタートを再認識する
精神科だけに限りませんが転科は0からのスタートになることを再認識しましょう。
ご存知の通り、精神科は他の診療科と大きく異なり治療の進め方が独特です。
精神科では心理的なアセスメントが重要であり、精神現症を捉えるスキルや身体科には馴染みのない精神科用語を習得する必要があります。
研修医のときに2か月だけ初診の問診をやった気がする
やったやった!むっちゃ現病歴が長いんだよね(笑)
転科した後の感想としては「同じ日本語なのに方言が全く違う感じ」というか、精神科の表現に慣れるのに1年くらいはかかりました。
そのため身体科で培った経験や手技が必ずしも直ちに活かされるわけではありません。
医師としてのキャリアの初期段階と似た状況が、再び訪れることを自覚しておきましょう。
ぼくにとっても前立腺生検の手技なんかは、こっちでは役に立たなかったからね(笑)
とはいえ身体合併症を持った人は必ずいるから、最終的には何かと重宝されるけどな
収入減の可能性があることを自覚しておく
精神科に転職する際は、収入が減少する可能性があることを理解しておく必要があります。
精神科においては「精神保健指定医」という資格が特に重要であり、この指定医がないと年収が伸びにくい傾向にあるからです。
転科後は最低でも3年間は指定医の取得ができないため、その点は予め把握しておいた方がいいでしょう。
まぁ他の科でも専門医は必要だから、そこはあんまり変わらないかも
指定医ってやつが重要なんだね!
ただし収入面に関しては一概には語れないところもあります。
精神科医への転科による経済効果を深堀りしてみましょう。
時間単価が上がることが多い
読者の方もイメージできる点かと思いますが、精神科の特徴として残業がほとんどないことが挙げられます。
そのため転職することで給料の時間単価が上がる可能性が高いです。
例えばAM8時に出勤~PM6時に退勤(労働時間10時間)、年収1,000円の医師が9時5時で上がれる精神科に転職したとしましょう。
年収 | 労働時間/日 | 時間単価 | |
転科前 | 1,000万 | 10時間 | 約3,800円 |
転科後 | 850万 | 8時間 | 約4,000円 |
精神科では指定医がないと年収が伸びにくい傾向にありますが、このように時間単価ベースで考慮すると上がることが多いです。
バイトもしやすいから掛け持ちすれば年収はキープできるよ!
前の科のスキルが年収に反映されるかも
精神科に転科した際、前の科のスキルが評価されて年収に反映される可能性があります。
例えば電気痙攣療法(ECT)という治療は麻酔下で行われるため、精神科病院では麻酔科の需要が高まっています。
元皮膚科医であれば認知症患者の褥瘡処置を行えますし、こうした経験が年収に反映される可能性は少なくないでしょう。
ぼくも簡単な縫合処置やバルーン留置、尿路の画像判読などでスキルを生かしてるよ!
指定医取得後は年収が爆増する
また、ひとたび指定医を取得してしまうと年収は数百万円単位で跳ね上がります。
他の科に転科したとしても専門医を取るまでは年収は伸びにくいでしょうし、精神科の条件が特段悪いとはいえなそうです。
中には年収2,000万円以上も可能な求人は全国に見られます。(精神科の医師の年収は?転職後のデータをもとに全診療科と比較 | 医師転職研究所より引用)
このような収入の変化をしっかりと理解して後悔のないキャリアチェンジを実現しましょう。
コンサルタントと細かくやり取りする
転職コンサルタントは、医療業界の最新の求人情報や転職市場の動向について詳しく知っています。
彼らと綿密なコミュニケーションを取ることは思いのほか大切で、そのポイントは以下の通りです。
コンサルタントとのやり取りのポイント
- 自分のキャリアイメージを伝える
- 病院側の事情を確認する
- 精神保健指定医の症例が集まるかを聞く
自分のキャリアイメージを伝える
転職コンサルタントに相談する場合は、自身のキャリアイメージをしっかりと伝えておきましょう。
そうでない場合、以下のような齟齬が生じる可能性があります。
私の場合、身体管理を続けることは苦になりませんでしたし他の先生との差別化にはむしろ好都合と考えています。
しかし心機一転を強く望んでいるという方は、その旨をコンサルタントに伝えておくようにしましょう。
キャリアイメージの確立は、どの科に転科するにしても大事そうね!
病院側の事情を確認する
逆に相手方である病院の事情も確認しておく必要があります。
例えば病院側が麻酔下で行うmECT(電気けいれん療法)を推し進めたいと考えているとしましょう。
そこに麻酔科の先生が転科を申し出た場合、「せっかく転科したのに、麻酔治療ばかりやらされる」ということにもなりかねません。(それを望んでいたのであれば問題ないでしょうが)
自身の要望を伝えるとともに、病院側の方向性に関してもエージェントに確認しておきましょう。
精神保健指定医の症例が集まるかを聞く
先に言及した通り、精神科においては「精神保健指定医」という資格が特に重要です。
この資格の取得にあたっては疾患別のレポートを作成する必要があります。
しかし転職した後に、「○○の患者はそもそも相談があっても断るようにしている」などの体制が明らかになり、レポート症例を集めるのに苦労することもあるのです。
転職コンサルタントには「過去数年間にその病院で指定医を取得された先生がいるのか?」という質問を必ずしておくことをおすすめします。
指定医の取得は死活問題だからマストで聞いとけよ
前の職場とも良好な関係を維持する
転職活動を行いながらも、前職場や医局の先生とは良好な関係を維持するよう心掛けましょう。
なぜなら転職活動を行っている最中は、最終的にどこの精神科病院に決まるからが分からないからです。
特に医局所属の場合「転科先の病院の隣に、前の医局の関連病院があった」ということは少なくない確率で起こりえます。
旧帝大の医局とかだと、むちゃくちゃ関連病院広いもんね
身体面の問題が生じれば近場の総合病院にコンサルテーションすることは多く、転職後も医療業界のネットワークを必要とする場面が必ず来ます。
現在の職場や医局との関係を悪化させないよう、転職活動を進めることがとてもとても大切です。
ぼくもたまたま転科した病院の隣が元職場だったんだよね(笑)
医療界は思ってるより狭いぞ
きっと後悔はない|精神科医の魅力とは?
精神科になる、あるいは転科する際の注意点を確認してきましたが、その魅力についても確認していきましょう。
精神科医の魅力として以下の点が挙がります。
ライフワークバランスを保ちやすい
精神科医の魅力の一つはライフワークバランスを保ちやすい点にあります。
研修医時代、ローテーションされた際に感じたかと思いますが、精神科は他の診療科に比べてゆったりとした時間が流れています。
確かに慣れるのに時間がかかるくらいゆっくりしてたわね
救急当直明けとかは助かったな(笑)
残業・オンコール・緊急対応が圧倒的に少なく先生方も同じ価値観を共有しているため、有休も取りやすい雰囲気があることが特徴です。
泌尿器科の時は夏休みはあったけど、それ以外で「有休を消化したい」なんて言い出せなかったなぁ・・・
QOL重視なら間違いなく検討すべき科だな
これにより仕事とプライベートの時間を両立させやすく、家族との時間や趣味の時間を大切にすることができます。
精神科はライフワークバランスを重視する医師にとって、魅力的な選択肢といえるでしょう。
年齢による衰えが生じにくい
精神科の治療では身体を用いることがほとんどないため、精神科医は年齢による衰えが生じにくいです。
例えば外科医のように手術を行う必要がなく、細かい手技や体力を要する業務が少ないため年齢を重ねても継続しやすいのです。
年を取ると長時間オペはしんどくなっていくぞ
また精神科医療では、患者との対話や心理的サポートが重要な役割を果たします。
これには豊富な経験と深い洞察力が求められますが、これらのスキルは年齢とともに向上する傾向があります。
場合によっては、むしろ年齢を重ねることで優れた精神科医となることが可能です。
たまにパターナリズム強すぎる先生もいるけど、それはどこの科も一緒だね(笑)
職場の選択肢が多い
精神科医師の魅力の3つ目は職場の選択肢が多い点です。例えば以下のような働き方が挙げられます。
精神科医の働き方
- 精神科単科病院勤務
- メンタルクリニック勤務or開業
- 一般病院の精神科外来
- 産業医として従業員の健康管理を行う
- 精神保健福祉センターなどの公的な機関での勤務
- 総合病院で※リエゾンの介入
※身体疾患で入院中の患者さんが何らかの精神心理面の問題を抱えた場合に、精神医療と身体医療をつなぎ役をする。
このように多様な職場環境が存在するため、自分のライフスタイルに合わせた働き方を選べるのが大きなメリットです。
例えば精神科単科病院で勤務しながら資格を取得し、経験を積んでから産業医に転向するというのも可能。
他の科だと病院orクリニックって感じだもんね
人生のステージに合わせて、働き方を変えられるのはいいわね!
勤務先の選択肢が多いことは、長期的なキャリア形成において大きな利点となるでしょう。
精神科の平均年収が医師全体の平均より高い
精神科医師の魅力の4つ目に経済的な面での優位性があります。
精神科医療の需要が高いことや、専門的な知識とスキルが求められるためです。
さっき年収が減るかもって言ってなかったっけ?
転科直後はね!科の平均を取ると給与水準は決して低くないよ!
データにもよりますが、精神科医師の平均年収は医師全体の平均よりも高いという報告もあります。
(ドクタービジョン ニーズが高まる精神科医の年収!仕事内容ややりがいも解説より引用 ※2020年10月時点のドクタービジョン掲載求人をもとに平均値を出した場合)
特に精神科医師が不足している地域や施設では、高額の年収が提示されるため安定した生活を送ることができます。
他の科と同様、資格の有無は重要となってきますが、精神科医は年収水準は高めに設定されているため経済的な魅力が大きい科と言えます。
一人の患者さんと長期的に向き合える
精神科医師として働く大きな魅力の最後は、一人の患者さんと長期的に向き合える点です。
精神科の治療は、職場のストレス因子に起因した適応障害などを除いては、単発的な治療ではなく継続的な支援が必要なケースが多いです。
精神科医は患者さんと深い信頼関係を築きながら、数年〜10数年単位の長期間にわたって治療を行うことができます。(※スーパー救急や精神科クリニックを除く)
私も外科系診療科に所属していた際は目まぐるしい業務と患者数に追われていましたが、今では一人の患者さんとしっかりと対話することができています。
どうしても外来数が多いと流れ作業みたいになっちゃうものね
こうした環境が精神科医の大きな魅力であり、診療を行う上でのやりがいとなっています。
患者さんの人生から学べることはとても多いよ!
後悔なく精神科へ転科するための注意点 まとめ
本記事では『精神科に転科すると後悔する?|失敗しないための注意点【体験談】』を説明しました。
精神科はあくまで非常に魅力的な診療科です。
この記事でご紹介した注意点をしっかりと押さえることで、後悔のない精神科への転職が実現できます。
転職活動を進める中で不安や迷いが生じることもあるかもしれませんが、転職サービスを利用しながら一歩一歩前進していきましょう。
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新たな一歩を踏み出し充実した医師人生を送るために、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
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