次の人事で僻地に飛ばされることになったんだ、これって拒否できないの?
多くの医師が直面する「医局人事」。
予想外の異動に戸惑い、どう対応すべきか悩む方も少なくありません。
医局人事は拒否できるのでしょうか?できないとしたらどんなアクションを取るべきなのでしょうか。
本記事では『医局人事は拒否できる?医局人事との上手な向き合い方を経験者が解説』を説明していきます。
関連病院の配属中に、教授に退局を申し出た経験のあるぼくが解説するよ!
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医局人事を断ることはできない
結論、医局人事を断ることはできません。
医局員が取れるアクションは以下の2つとなります。
- 人事を受け入れて医局に留まる
- 医局を辞めて転職する
いきなり夢のない結論だな(笑)
まあ聞け
いくつかの前提条件を整理していきましょう。
(参考:意に沿わない医局人事は拒否できる?法的観点でみる医局人事【荒木弁護士解説】|医師バイトドットコム)
いやー命令で行ってるけどな(笑)
当然この法的解釈と実情は大きく異なっています。
事実上は医局が勤務先の決定権を持っており、ひとたび次の勤務先が決まってしまえばそこに拒否権はありません。
断ろうものなら「あそう。そしたらどうぞ医局を辞めてください」となるだけです。
医局と全面的に対立する覚悟があれば、医局人事で流れ着いた病院に教授の命令を無視して在勤し続けたケース※はありますが、これを一般的な選択肢とするのはムリがありますよね。(※榛原町立榛原総合病院事件)
『法律的には拒否権を持つ』ことと『拒否した後も医局に残ってメリット(専門医取得など)を享受できる』ことには大きな隔たりがあります。
以上のことから"実態として"医局人事は拒否できないため、人事に疲弊したのなら潔く退局するべきなのです。
医局という小さな村社会のルールが優先されるのが現実だね・・・
医局人事を断れない理由
そもそもなぜ医局人事は断れないのでしょうか。理由は以下の2つです。
- 他の医局員が納得しないから
- 地域医療が維持できなくなるから
それぞれ確認していこう!
他の医局員が納得しないから
これは直感的にも分かりやすいところでしょう。
教授からしたら一人のわがままを聞き入れて、その他の医局員から不満を持たれる選択を取るメリットがありません。
というか一人の意向を聞き入れるなら、全員の要望に応えなければならず組織として破綻してしまいます。
医局人事の主な目的に「医師に多様な経験を積ませること」「医局員の待遇を平均化すること」がありますから、これに対立する"人事の拒否"がまかり通らないことは、お分かりいただけると思います。
俺たちは組織の歯車の一つに過ぎないんだよ
地域医療が維持できなくなるから
医局人事の他の目的として「地域医療が維持」があります。
医局の関連病院には地方や僻地の病院も含まれますが、そうした病院への配属が医局員から嫌われる傾向があるのは皆さんもご存知の通りです。
「コンビニも無いような田舎の病院になんて行きたくありません!」みんながこう言い出すと地方の医療は回らなくなってしまいます。
地域医療の責任を負う医局とすると、医局人事の拒否はとうてい受け入れられないのです。
医療インフラの維持のために僕たちが犠牲になるんだね・・・
医局人事を断れる可能性があるとしたら
これまで説明した通り医局人事の拒否は基本不可能です。
その上で交渉の余地があるとしたら、
- 人事が決定する前に提案する
- 配慮に値する事情を説明する
といった条件をクリアする必要があります。
僅かな可能性を絞り出してみたよ
人事が決定する前に提案する
医局人事の配属が決定した後にそれが覆ることはありません。
決定前であれば教授といち医局員の内密な話として進められますが、決定後は他の医局員の将来にも影響する問題になるため余計に示しがつかないからです。
医局人事は春だと4月、秋だと9〜10月頃に行われます。その半年前には次の異動先が通達されているはずです。
もし医局人事を断る意向があるなら、人事が決定する『そのさらに前に』提案をするようにしましょう。
配慮に値する事情を説明する
医局人事を拒否するためには説得力のある事情も必要です。定番は
- 健康上の理由
- 結婚や出産、育児、介護のような家庭の事情
あたりでしょうか。
ただ教授からしたら「また来たよ・・・」という聞き飽きた理由です。
ここまでやっても「同じ悩みを抱えて頑張っている医局員もいるんだぞ」と一蹴される可能性の方が高いと言わざるを得ません。
とはいえ交渉の余地が全くないわけではないため、勇気ある方はトライしてみてもいいでしょう。
幸運を祈るぞ
医局人事の拒否をおすすめしない理由
ここまで医局人事を断る僅かな可能性を探る方法を説明してきました。
それでも、やっぱりおすすめはしないよ
なんで?うまくいったら儲けもんじゃん
なぜなら医局人事の拒否は『1回きりのカード』だからです。万が一、提案が通ったとしても今後の異動時に同じ手段は使えません。
むしろ「前回は配慮してやったんだから」と、その次の人事で条件の悪い病院に配属される可能性もあります。
「人事で便宜を図ったんだから」と想定外の論文執筆を強いられるかもしれません。買った恩の分はどこかで帳尻合わせを求められるはずです。
・・・。確かに。
結局は"医局員の待遇を平均化すること"という医局の目的から逃れることはできないのです。
冒頭文に戻ります。医局員が取れるアクションは以下の2つです。
- 人事を受け入れて医局に留まる
- 医局を辞めて転職する
医局に何かしらの旨みを感じているのであれば素直に人事を受け入れましょう。
といっても、この記事を読んでいるのは医局人事を断りたいほど異動に疲弊している方でしょう。
ここからは、人事が決定してしまった状況から退局する場合の流れをご説明します。
医局人事を甘んじて受け入れ、水面下で転職活動を行う
今回の医局人事は甘んじて受け入れ、来年度の勤務のかたわら就職活動を行うことを推奨します。
仮に退局を決意したとしても、既に決まった人事を覆して退局するのはおすすめできません。これには以下のデメリットがあります。
- 翌年の職場が決まっておらず経済的に不安定になる
- 医局と喧嘩別れになる可能性がある
- 転職活動に時間をかけられない
翌年の職場が決まっておらず経済的に不安定になる
無計画・急転直下に医局を辞めた場合、来年度の職場がまだ決まっていないはずです。
余程の貯蓄があるのならまだしも収益源が全く無いというのは不安ですよね。バイトや非常勤でつなぐというのも選択肢ですが専門科のスキル維持には間違いなくマイナスです。
可能であれば来年度の職場を確保してから退局するようにしましょう。次の職場が決まっていれば、退局交渉もスムーズに進むため一石二鳥です。
医局と喧嘩別れになる可能性がある
あなたがいなくなる穴埋めは急遽誰かがしなければなりませんから、人事の再配置を余儀なくされた医局サイドの心象を悪くしてしまいます。
こうなると、いわゆる"喧嘩別れ"になる可能性が高まり医局員から総スカンを食らう恐れがあります。
同じ診療科を引き継ぐなら学会で会った時に気まずいですし、転科する場合でも意外とコンサルテーションでやり取りする機会がありますから、退局は計画的に行うようにしましょう。
転職活動に時間をかけられない
医局人事を拒否して急いで来年度の職場を決めようと思っても、転職活動に十分な時間をかけられません。
入職まで半年間もかけられない転職は不可能ではないです。ただ次の職場を吟味する時間がないため、条件の悪い病院と契約する可能性が高まってしまいます。
可能であれば7ヶ月~1年くらいの余裕をもって転職活動を行いたいところです。
以上のことから今回の医局人事は甘んじて受け入れ、従順ないち医局員のフリをしてやり過ごしましょう。
自己犠牲のためではありません。穏便に、しかし確実に労働環境を改善するために、その日から退局の準備を進めるのです。
準備っていっても具体的に何をすればいいの?
結論から言うと転職エージェントへの相談をおすすめするよ!
詳しくは医師転職ロードマップにまとめてあるから確認してみてくれ
医局人事を断る? まとめ
本記事では『医局人事は拒否できる?医局人事との上手な向き合い方を経験者が解説』を説明しました。
基本的に医局人事は拒否できません。
ただ過去には医局人事を拒否して関連病院に留まった事例もあるため、鋼のメンタルを持ったごく少数の方が挑戦することは止めません。(そういった芯の強い方を私は尊敬します。)
その他大勢の方は今回の人事を受け入れ医局に留まるか、来年度に向けて転職活動を始めましょう。
転職活動には時間がかかるため、ひとまず転職サイトに希望条件だけ登録しておくと、公にできない内部事情も含めた好条件求人をGETできるかもしれませんよ。
この記事が悩めるあなたの手助けになれば嬉しい限りです。
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以上、しーばんでした!
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